倒産発表の時

「会社倒産したで!」

はっ? 私は最初何の冗談かと思って思わず笑ってしまいました。

でもそれは残念ながら本当の話だったんです。
そう、まさにこれから起こる波乱万丈の人生の始まりだったんです。
トホホ、、、
と、嘆いてもしかたがないので、先に進めます。

あれは確か十数年前の夏だったかな?全然確かじゃないですが、
他部署の応援に行ってた時でした。
その日は妙な感じで、朝から珍しく館内放送があるっていうんで、
みんな神妙な面持ちで放送に聞き入ってました。

「全軍一層奮闘努力せよ」
みたいな感じで放送は終わり、戦時中を思い出した朝でした。
なんのこっちゃと思いつついつものように仕事をしていると、
現場の係長が冒頭の言葉を言ったんです。
会社倒産したで、、会社倒産したで、、会社倒産したで、、
頭の中にいつまでも続くリフレイン。

「うそだ!」まさかこんな大きな会社を潰すわけがない。
そんなことがあったら社会問題になるぞ。
としばらくは信じられませんでした。でも、本当だったんです。

会社に入社して10年。こんなはずじゃぁなかった。
夕方から自分のオフィスに戻ると、経営陣の記者会見を見るために、
14インチのパナソニックのテレビ前にみんな群がっていました。
そして、経営陣はそれはそれは、丁寧に丁寧にお辞儀をしてお詫びを
申し上げておりました。

そのあとは、もうお通夜そのもの。
おもっ苦しい空気。

ふと気がつけば、妻と子供が木漏れ日の下で無邪気に笑っている
シーンが目に浮かんでいました。
そう、ドラマによくある回顧シーンみたいに。
音声にエコーがかかってて、若干白抜きになってる感じで。

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