現場の混乱と人間の本音

私は今振り返れば、倒産する会社の末期を目の当たりする、という
経験をしたことを、貴重な試練でありがたいことだったと思っています。

今でこそ倒産が頻発していますが、当時はなかなか衝撃的な事件
だったはずです。
まぁ、ありがたいなんて言うと不謹慎だと言われそうですが、
逆に一歩、別の人生を踏み出さざるをえなくなったが為に、さまざまな
人に出会えたり、そのままでは決して経験することのない仕事をする
ことができたんです。

とか言いつつ、当時はそんなことを思うことなどできず、経営陣、世間、
政治家、近所の野良猫、なんでも恨みました。
それは、職場のみんなも同じような心境である様に感じられました。

たとえば、今までYESマンだった人が、上司の命令に対して、猛烈に
反抗し、罵倒するんです。
また、飲み屋に行けば先輩も後輩もなく、けなし合い、そしりあい、
それはもう下剋上(ちょっと意味が違うか)のようなありさまです。

しかし、そのような中でも前向きな人はいるんです。
従来の処理手順を改善すべくいままで以上にバリバリ働き、部下に
仕事を指示する先輩がいました。
そんな先輩に対し、やはり反抗する若い衆も出てきます。

が、退職する次期が近付くにつれ、その先輩の行動の意味が
わかったんです。
それは、自分のやる仕事が無くなった人から順番に、退職していく
ということになった時でした。
案の定、反抗して仕事を拒否していた人は、真っ先に辞めさせられました。

幸い、私はその先輩を尊敬していたので、指示どおり仕事をしていた為、
しばらくは現場に留まることができたんです。

本当にできる人は、先の先を読み、かつ、他人のことまで心配し行動する
器量を持っている。

大変勉強させていただいた先輩に、感謝しきれない気持ちです。

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